医療的ケア児支援は責務です!
令和3年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(以下、医療的ケア児支援法という。)」では、医療的ケア児の定義を、人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為を、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に受けることが不可欠である児童(18歳以上の高校生等を含む)としています。看護師による医療的ケアの実施を希望される方には、在籍する学校に看護師を配置します。
これを受け、北海道は、道内すべての市町村において、お子さまとそのご家族が医療的ケアとともに安心して生活できるよう、さまざまな相談をお受けする窓口「北海道医療的ケア児等支援センター」を令和4年6月30日に開設しました。
- 2016年に成立した児童福祉法の改正案で、各省庁および地方自治体が医療的ケア児への支援の「努力義務」を負うことになりました。今回の医療的ケア児支援法の成立により、各省庁および地方自治体は、医療的ケア児への支援に「責務」を負うことになります。責務規定とは、これまでの「努力義務」より強制力が働くものです。
- 医療的ケア児支援法の施行にともない、各自治体に地方交付税として予算が配分されることになります。各自治体が予算を持ち、強制力のある中で医療的ケア児を支援する事業を進めていくことで、これまで地域によってばらつきのあった支援体制の格差是正が期待されています。
- 各自治体は、保育所、認定こども園、家庭的保育事業等(家庭的保育事業、小規模保育事業、事業所内保育事業)や放課後児童健全育成事業、学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校)での医療的ケア児の受け入れに向けて支援体制を拡充する責務を負います。
- 具体的には、各自治体は、医療的ケア児が家族の付添いなしで希望する施設に通えるように、保健師、助産師、看護師や准看護師、またはたんの吸引等を行うことができる保育士や保育教諭、介護福祉士等の配置を行います。
- 都道府県ごとに「医療的ケア児支援センター」を設立することが義務付けられており、医療的ケア児とその家族が困りごとがあった際には、ワンストップで対応できるようになることが期待されています。
今後の課題
- 地方自治体が主体となって進める事業となるため、最終的な判断は、自治体に委ねられています。きちんと自治体で支援制度を整備していくためには、地方議会で活発に議論を重ねていく必要があります。
「医療的ケア児支援法」成立の経緯
- 「永田町子ども未来会議」は、超党派の国会議員や厚生労働省や文部科学省などの官僚、医療関係者、福祉事業者、当事者団体が集まり、医療的ケア児の支援に必要な施策や制度を検討する勉強会です。
- 立憲民主党 衆議院議員 荒井氏をはじめとした医療的ケア児への支援に関心の高い超党派の議員が「障害児保育園ヘレン」を視察したことをきっかけに、永田町子ども未来会議は2015年にスタートしました。
- フローレンスが事務局を務める「全国医療的ケア児支援協議会」も、永田町子ども未来会議のメンバーとして参加し、医療的ケア児の支援拡充のために何が必要か、障害児保育園の事業運営をしてきた経験と知見をもとに提言を行ってきました。
- 永田町子ども未来会議の活動により、2016年に児童福祉法の改正案が成立し、法律の中に医療的ケア児に関する文言が初めて明記されました。しかし、医療的ケア児への支援拡充が努力義務規定の記載にとどまったため、自治体によってサービスに差が出ることが懸念されていました。また、障害児の受け入れ先を拡充していくためには、法律の整備と同時に障害福祉サービス等報酬改定(医療的ケア児をお預かりする施設を適切に評価し、安定して運営できるようにするための制度の整備)も進めていく必要がありました。
- 2018年の障害福祉サービス等報酬改定に大きな期待が寄せられましたが、医療的ケア児の預け先が拡大するには程遠い改定内容でした。医療的ケア児への支援を拡充するためには、厚生労働省・文部科学省・総務省の力を結集する必要があり、省庁をまとめるための法律の必要性が明らかになりました。
- その後、永田町子ども未来会議で超党派議員立法として医療的ケア児支援法案を起草し国会に提出され、2021年6月に医療的ケア児支援法が成立しました。なお、同年4月の障害福祉サービス等報酬の改定により、医療的ケア児の受け入れに必要な費用を補うための報酬が事業所へ適切に分配されることになり、動ける医療的ケア児の受け入れ先の拡大に向けて大きな一歩を踏み出しました
医療的ケアの具体例としては、次のようなものが挙げられる。
・喀痰吸引(口腔・鼻腔内)
・喀痰吸引(気管カニューレ内部)
・経管栄養(胃ろう・腸ろう)
・経管栄養(経鼻)
・導尿
・インスリン注射
・その他医行為
思いもよらないヒューマンエラーをどう乗り越えるか?重要な案件ですが、一定の条件の下に「実質的違法性阻却論」により容認されている状況の検証も必要あり、議論の中心となると思います